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(討議資料)
2010年4月29日
明るい県政をつくる県民の会事務局
村井県政の実態と県政転換の課題
県知事選挙が7月22日告示、8月8日投票と日程が確定しました。
村井仁県政となって4年経ち、「県政が遠くなった。」と感じる県民の声が聞かれます。また、県民の世論や運動と前田中県政ではじまった県政改革の後戻りが現実になりました。明るい県政をつくる県民の会(以下、「県民の会」)は、3月に村井県政を検証するシンポジウムを開催し、県政の問題点と県民要求、争点を深めてきました。各団体、地域の県政問題の討議資料として作成しましたので、活用してください。
○県民への負担増から県民のくらしを応援する県政へ
村井知事は、就任後初めての新年度予算編成で、「行政改革推進債」を採用しました。
公共事業にしか使えず、交付税措置もないため、全額を県民への負担増やサービスの切捨てなどで返済しなければならない「行政改革推進債」を国から5年間で500億円借りることとしました。その交換条件に、組織再編、県立病院や社会福祉施設、県営施設の独立行政法人化や指定管理者への委託、学校統廃合などで職員定数を1550人削減し、職員給与の総額削減、県民への手数料、公共料金の値上げ、事務事業の「見直し」による県の独自施策など県民サービス切り捨ての方向に大きく舵をきったのです。
まず、長野県が全国に先駆けて長年実施していたウイルス性肝炎患者通院医療費の県の独自補助を打ち切ったのを皮切りに、パブリック・コメントとでも「継続してほしい」と要望の強かった障害者「希望の旅事業」(450万円)を廃止、68・69歳の高齢者の医療費窓口負担を1割に軽減する事業(9530万円)の廃止、県市長会や町村長会の批判を押し切って障害児保育のための保育士加配(1億5700万円)の廃止、長期入院の子どもたちのための教員派遣事業(588万円)の廃止、学校給食の米粉パン事業(329万円)の1年前倒し廃止、県公衆衛生専門学校(長野校)長野勤労者福祉センターの廃止、障害者雇用を進める地方事務所の求人開拓員を10圏域から5圏域に縮小などをはじめ、県独自の県民サービスは次々に切り捨てられ、ついに今年度からは、遷延性意識障害(植物状態)の患者の医療費にも自己負担が導入されることになりました。公立高校は授業料無償化が実現しましたが、県は私立高校への「就学支援金」と引き換えに、県単独の授業料軽減予算を削減しました。
また、関係者の切実な要望として県の担当課が予算要望した重度障害児のショートステイ事業(322万円)さえ、認められませんでした。景気低迷の中、全国的には中小企業への融資制度の金利を据え置く県が多く、富山県は0.25%引き下げた2008年度、長野県は0.3%引き上げました。
県立病院の分娩料は全国の公立病院の中で最高額に引き上げ、福祉医療費給付事業の法的根拠の無い手数料を1レセプト300円から500円に値上げも強行しました。福祉大学校、看護専門学校、公衆衛生専門学校、高校などの入学審査料、授業料などの相つぐ値上げは、2009年だけでも8000万円の県民負担増です。
これら事務事業の見直しによる県民の負担増とサービスの切捨ては2008年で廃止事業74件、縮小事業328件で23億円、2009年で廃止、縮小、休止事業260件で17億円の県民サービス切り捨てになっています。
このような福祉サービスの「切り捨て」、県民負担をおしつける県政ではなく、県下市町村では高校卒業まで医療費を無料化するなど、住民要望をうけとめ、くらしを応援する施策をすすめているように、県民のくらしを応援する県政の転換が求められています。
○浅川ダム建設強行から民意に沿った対応をする県政に
村井県政の最大の問題は、知事選の公約にもなかった無駄で危険な浅川ダムの建設を、県民世論に背を向けて、財政状況の厳しさにもかかわらず強行していることです。
昨年秋の長野市長選挙の際に市民の63%が「ダム建設に反対」の意思を表明しました。(信濃毎日)この民意を無視し、長野市長と小布施町長が「つくってくれ」というからという理由は成り立ちません。すでに建設関連工事に180億円の税金が使われました。ダム本体工事の入札が低入札(80億円が53億円)であっても、ダム工事は途中で変更契約し、増額が当たり前です。危険な地すべり地内に建設するからこそ、新たに砂防対策に30億円も必要になっています。このように安全性も心配され、例え建設しても下流域の内水(洪水)被害はなくなりません。
前田中県政の時代に、「脱ダム」宣言が発信され、治水利水ダム等検討委員会を舞台に、専門家や行政関係者、議員、公募で選ばれた住民が同じテーブルで多くの時間とエネルギーを使って各河川の治水のあり方を検討し、浅川はダムによらない治水対策を進めることになりました。凍結されていた浅川ダム本体工事契約は正式に解除され、ダム建設は中止、下流の内水対策や流域の都市型水害対策などの検討が始まった矢先でした。
昨年夏の政権交代後、八ツ場ダム中止、ダムによらない治水対策の方針の検討を有識者会議に指示した前原国土交通大臣は、12月15日、村井知事はじめ全国37道府県知事に国の新しい方針への「ご協力のお願い」文書を出し、浅川ダムはじめ駆け込み発注直前の全国5つのダムを再検証の対象としました。しかし、民主党政権は、長野県議会のダム推進勢力でもある民主党長野県連、社民党長野県連、自民党県議をはじめ村井知事らの相つぐ攻勢のなかで「公約」を裏切り、2月県議会に知事が提案した浅川ダム本体工事請負契約の採択に間に合わせるかのように急転直下方針転換して、自民党・公明党政権時代に計上していた浅川ダムへの補助金を「ほぼ満額つける」と表明しました。
村井知事は、県議会でも、記者会見でも、国への要請でも、繰り返し、「浅川ダムは、国に先駆けて、すでに専門家と住民参加の十分な検討を経ている。」と強調していますが、十分な検討の結果の結論はダムによらない治水であり、結論のすり替えは許されません。県議会での議決を経てダム建設は始まりますが、その後、浅川最下流の長沼地区で「コンクリートのダムによらない治水のための調査、学習、行政への働きかけを行なう」ことを会則に掲げた「長沼 浅川・千曲川の治水を考える会」が130名をこえる会員で設立されるなど、浅川ダム建設に反対する世論はますます広がっています。権力と数の力で強行しても、多くの県民は、このような村井県政の政治姿勢に怒りと疑問の声を広げています。
先頃発表された県民世論調査で、浅川ダム建設を「評価しない」が58・3%で、「評価する」は24・8%と倍以上の県民が反対です。民意無視で浅川ダムを強行する県政から、民意に沿った対応をする県政への転換が求められています。
○疑惑解明に後ろ向きから県民に開かれた県民参加の県政へ
就任後、直ちに「ガラスばりの知事室」を廃止した村井知事は、強権的とも言える手法で、「暗闇県政」へと後戻りをさせています。
特に、人事の問題では、就任直後に知事選挙の事務長だった腰原氏を副知事に就任させ、国会議員時代の3人の秘書を議会多数の反対を押し切って任期付き幹部職員に登用しました。ついには、みずからも監査を受ける立場にある第三者機関であるべき県の代表監査委員を任期途中で事実上の辞任を要求し、現職の総務部長を後任に据えるなど、人事の私物化は目にあまるものがあります。
各種審議会委員や行政委員には、市町村長経験者や企業主などの比率が増え、県民からの公募枠は大幅に狭められつつあります。
市町村長を対象にした「ボイス81」の開催には熱心ですが、県民の意見を直接聞く、車座集会や「お出かけ知事室」は形ばかりの開催で、県民の意見には「聞き置く」と言う程度の態度です。今年の2月県議会を前に、「浅川ダム建設への公金支出さし止めを求める住民監査請求をすすめる会」の代表が、昨年10月の長野市長選挙の際の信濃毎日新聞の世論調査では長野市民の62%が「浅川ダムは見直すべきだ」と答えたことをあげて、本体着工の提案をやめるように求めたことに対し、「その世論調査は承知しているが、それを受けて行われた市長選挙で当選した市長がつくってほしいと要望しているのだからつくる。」と、県民の声よりも市長の意見を重視する姿勢を示しました。
情報公開も積極的ではなく、「県政がわかりにくくなった。」と、県民から指摘されています。みずからの秘書をつとめた県参事の西松建設違法献金疑惑に絡む自殺についても、世論調査では74.2%の県民が「知事は説明責任を果たしていない」と答えており、かつての政権の中枢にいて、国家公安委員長も勤めた人物でありながら、「私には、何の調査の方法もない。」などと開き直り続け、今なお真相究明には後ろ向きです。
超党派の男女共同参画社会づくり議員連盟の提言にもかかわらず、女性職員の管理職登用は数値目標を持たず、遅々として進みません。自ら策定した中期総合計画に照らしても男女共同参画は計画で掲げた目標の達成も危ぶまれる状態です。
前県政で完全終結した「同和」問題を復活させようとする姿勢が見られます。
県民への説明責任を果たさない県政から、県民に開かれた県政運営をおこない、県民参加をひろげる県政への転換が求められています。
○借金依存から福祉・教育を充実する県政に
前県政時代に教育・福祉の予算に重点を置きながらも毎年確実に減らし続けてきた県の借金(県債残高)は昨年度から増え始め、ついにピークであった2002年の残高を超え、過去最高を更新してしまいました。いまや県債残高は1兆6千億円以上になり、8000億円の県予算の2倍にも膨らませています。後の世代に借金返済をツケ回しすることに、県民世論調査でも村井知事の財政の立て直しを「評価しない」が67・6%を占め、県民は不安を感じています。
地方交付税を減らし、県に借金を肩代わり発行させる「臨時財政対策債」の大幅発行で先の見通しが見えてこない厳しい財政運営が続く中で、村井知事は、税金や公共料金の滞納取立ての強化策を推進し、財源確保のために消費税増税を強硬に主張しています。知事は、「一定のサービスを確保するためには応分の負担は当然」「高負担高福祉か、中負担中福祉か」と受益者負担の原則を迫り、「消費税は景気に左右されないもっとも公正な税金」と、消費税増税が最良の方法であるかのように主張し続けています。
村井知事は、地方財源の安定的な確保のためと、全国知事会の中でも、地方消費税の増税を知事会の決議として国へあげるべきと繰り返し主張し、最初は躊躇していた各都道府県知事に対し、1年間にわたって県の総務部長に詳細な長野県のデータを使って分析・検討させた資料で説得し、ついに全国知事会が地方財源確保充実のための消費税増税の国への決議をあげたことを自分の功績として自慢しています。消費税は、税率を上げるだけで安易に税収が確保できる反面、食料や生活必需品にいたるまで課税される消費税の逆進性が、今でさえ、低所得者や中小零細業者をはじめ弱い立場にある県民にどれだけの苦難や打撃を与えているのかにはお構いなしの冷酷さです。
財政再建を庶民いじめの消費税増税に求めるのでなく、「身の丈」にあった財政運営をしながら、税金の使い方を変えて県民の福祉・教育を充実する県政への転換が求められています。
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