| 浅川ダム工事支出公金差止等請求 住民訴訟事件訴状 |
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| 浅川ダム建設中止を求める住民訴訟原告団 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 2010(平成22)年3月19日 長野地方裁判所民事部御中 |
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| 訴状 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
原告ら訴訟代理人 浅川ダム工事支出公金差止等請求住民訴訟事件 |
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当事者の表示 請求の趣旨 |
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1 被告は、浅川ダム建設請負契約の契約工事代金及びこれに関連する工事費・調査費に関して、 公金を支出してはならない。 2 被告は、村井仁に対し、金4億3326万7800円とこれに対する本訴状送達の翌日から完 済まで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 請求の原因 第1 前提事実 1 当事者 (1)原告 原告らは、いずれも長野県民である。 (2)被告 長野県は、後記浅川ダム(以下、「本件ダム」という。)を設置し、本件ダム建設に係る工事費を支出する、あるいはこれまで支出してきた地方公共団体である。 2 長野県の浅川ダム計画及び本件工事の概要 (1)本件ダム計画の概要 ア 本件ダムの概要 長野県(以下、「県」という。)は、長野市浅川一ノ瀬地籍において本件ダムを建設する計画を立て、1971(昭和46)年度より予備調査を開始し、後述の経緯のとおりの紆余曲折を経て、2009(平成21)年度よりダム本体の建設工事(以下、「本件工事」という。)に着工しようとしている。 記 ダム地点への流入量130m3/sのうち、100m3/sの洪水調節を行い、下流域での洪水被害を防止する。 |
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イ 本件ダム設計の基礎となっているデータ
(2)本件工事の概要
記 1 工事名 国庫補助事業治水ダム建設事業3 浅川の概略 浅川は、飯縄山に源を発し、支川と合流しながら、長野市北部山地、長野市北部住宅地を流下し、駒沢川等の支川を合流しながら、千曲川と合流する流域面積73平方キロメートル、幹川流路延長17キロメートルの信濃川水系に属する一級河川である(甲1)。 |
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(2)浅川における洪水被害と河川改修 ア 浅川は、かつて洪水被害を繰り返してきた川であった。 かつての浅川は、河川改修が進んでいなかったため、上流から供給される土砂の堆積により、著しい天井川となっていた。 イ 河川改修の実施(甲1) 上記のような度重なる浸水被害対策として、県は浅川の河川改修工事を1977(昭和52)年頃から実施し、天井川の状態の解消を進めてきた。 4 本件ダム計画の経緯 本件ダム計画の経緯は、1971(昭和46)年に始まり、現在に至る長期間のものであって、その経緯の理解は本件訴訟の性質を理解する上で欠くことができないので、本訴状においてその経緯の概要を述べることとする。 (1)予備調査 1971(昭和46)年に県の単独による予備調査が開始された。予備調査は、これに続く実施計画調査の事前調査であり、計画の立案及び地形・地質条件等によるダム建設の可否等を調査するものである。 (2)実施計画調査 予備調査を経て、1977(昭和52)年度から、国庫補助事業浅川総合開発事業として、多目的ダム(治水・利水等を目的とする)として事業採択され、実施計画調査を開始した。 (3)建設工事(付け替え道路建設工事) ア 県は、実施計画調査の後、1985(昭和60)年度から、本件ダム建設事業の国庫補助新規採択を受けるとともに、水道事業者の長野市長と「浅川総合開発事業浅川ダム建設工事に関する基本協定」を締結した。この時点での事業費は、125億円と定められていた。イ 1989(平成元)年10月ころから、県は、付け替え道路(県道飯綱高原浅川線)の左岸ルート計画のための地質調査を開始した。 (4)旧浅川ダム本体工事をめぐる展開 ア 県は、1995(平成7)年3月に旧浅川ダム建設事業全体計画につき、建設大臣の認可を得た。 |
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エ 1999(平成11)年3月、総事業費400億円へのさらなる変更増額について、長野市長と県が変更基本協定書を締結した。 (5)田中康夫知事の政策による旧浅川ダム事業の中止 ア 2000(平成12)年10月に長野県知事に就任した田中康夫知事は、同年11月に旧浅川ダム本体工事を一時中止し、2001(平成13)年2月にいわゆる脱ダム宣言を発表した。 (6)旧浅川ダム事業中止後 2003(平成15)年8月に浅川流域住民で構成する浅川流域協議会が発足し、以後現在に至るまで17回にわたり開催された。同協議会は、2003(平成15)年12月の第8回協議会において、更なる河川改修を早期に実施することを求める提言書を提出した。2004(平成16)年10月に襲来した台風23号による浅川下流域の浸水被害を受けて、同協議会は同年11月の第11回協議会において、内水対策に取り組むことの重要性が表明された。 (7)村井知事の就任と本件ダム事業の推進 ア 2006(平成18)年9月に、村井仁氏が長野県知事に就任した。 イ 2007(平成19)年2月8日、村井知事は「浅川の治水対策、河川整備計画」の方針を公表し、県の浅川整備事業に関する方針は、治水専用ダム(穴あきダム)と河川改修を組み合わせた対策を進めるという方針に突如として切り替わった。 ウ 翌日の2月9日には、当時の副知事及び上木部長が、浅川総合治水対策連絡協議会(浅川問題につき協議する住民団体)に対し説明を行った そして、その2日後の同月n日には、村井知事及び県幹部が、長沼地区北陸新幹線対策委員会に対して、本件ダムの計画決定・ダム建設の方針を説明し、新幹線用地交渉への協力と理解を要請した。この際、村井知事は、「概ね10年以内での完成を目標とする」「その前にできるだけ早く用地を取得させていただきたい」などと、本来関係のない本件ダム建設と北陸新幹線の用地買収とを関連づけて、説明を行った。 エ 同年6月、県は、本件ダム工事を含む河川整備計画の案につき、長野 市長、小布施町長からの意見を聴取し、両者は同意した。 オ 県は、2007(平成19)年7月に上記イの方針を内容とする「信濃川水系長野圏域河川整備計画(浅川)」の認可を国土交通省に申請し、同年8月、国土交通省が認可した。 カ 県は、2008(平成20)年7月に2回(一般向け)、同年8月に1回(長野県議会議員向け)の浅川ダム水理模型実験を京都府宇治市において実施した。 キ 県は、2009(平成21)年5月、第17回浅川流域協議会において、浅川ダムの模型実験と詳細設計について説明し、同年11月、浅川ダム本体工事(本件工事)の入札を実施した。 ク 同年10月、政権交代に伴い国土交通相に就任した民主党の前原誠司国土交通相が国直轄ダムの中止、見直し方針等を発表し、同年12月には、道府県知事宛に「『できるだけダムにたよらない治水』への政策転換に対するご協力のお願い」(甲2号証)を送付するなどしてダムにたよらない治水の在り方を検討するよう要請した。 ケ 県は、上記国交相の要請にもかかわらず、2009(平成21)年H月から12月にかけて本件ダム本体工事の入札手続を進めた。 コ 同年3月9日、前原国交相は、浅川ダムが本年度内に本体着工を予定しているほど手続が進んでしまっていることなどに触れた上で、2010(平成22)年度政府予算に国の補助金を計上することを表明した。 サ 同月12日、長野県議会は、本件工事の契約議案を可決した(賛成41、反対13)。 第2 浅川ダムの危険性 1 本件ダム建設予定地周辺地域の特徴 本件ダム建設が予定されている浅川上流域は、長野市西縁断層地帯に位置しており、また、フォッサマグナ第一級の津南─松本構造線、信濃川断層帯の直上に位置する危険な地質構造をもつ地帯である。 (1)訴状添付図面(浅川ダム計画の「危険マップ」、以下「危険マップ」という。)は、本件ダム周辺の地形と地質について理解を容易にするため、長野市が作成した「ながの防災マップ」を原図として、内山卓郎(本件原告)が地質報告書等の文献から作成したものである。 (2)過去に浅川では、先に述べた善光寺地震時の地すべりと土石流による大災害(死亡者不明)及び年1939(昭和14)年4月の論電ヶ谷池の堰堤決壊による土石流災害(死者19名)などの大災害が発生している。 2 本件ダム建設の危険性(その1)─ダムサイトの地質 本件ダムサイトの裾花凝灰岩の地質は、熱水変質を伴いスメクタイト化しており、河床から左右両岸にかけて熱水変質した地質が大量かつ広域に分布している。これは地附山地すべりの裾花凝灰岩のモンモリロナイト化と類似、共通する地質条件である。これらの粘土鉱物は、水を含むと膨潤する性質を有するもので、巨大構造物設置の地盤としては極めて不適で、危険なものといわなければならない。 3 本件ダム建設の危険性(その2)−断層の存在 (1)本件ダム周辺には、危険マップにみるように、多数の断層が存在する。 危険マップのFの1及び2は、長野市が1988(昭和63)年3月、地附山地すべり発生を契機として作成した「長野市防災基本図」の表層地質図が、ダムサイトを横断する断層線と推定及び伏在断層線を図示し、1989(平成1)年5月の「地附山地すべり機構解析報告書」の地質図がダム地点直下約100メートルの位置に迫る推定断層を図示し、浅川断層と名付けていたものである。 Iの1、2及び3は、県の調査によって判明した断層と破砕帯である。この「一ノ瀬地すべり地と貯水池を横断する断層」については第四紀断層である可能性は極めて高いものであるが、県は、個々の断層の長さ、深さ、地層のずれ、地表の変位の有無、活動度の判定、さらにその判定方法等を明らかにしないまま、この断層の存在そのものを否定してしまった。 F−V断層とF−9断層については、県の「治水・利水ダム等検討委員会」(宮地良彦委員長)は、2002(平成14)年6月、答申のなかで、「地質とダムの安全性」に関するまとめとして、「ダムを実施する場合にはF−V断層の活動性と下流部への延長を確認し、F−9断層と線状凹地との関連性について再調査を必要とする」と指摘した。しかし、県は、再調査を実施することなく、本件ダム建設の方針を打ち出した。 4 本件ダム建設の危険性(その3)−地すべり誘発の危険 (1)浅川を挟んで貯水池の左右両岸にそれぞれ面積約10haの相似形の大規模地すべり地(一ノ瀬)があり、右岸の約7haは現に地すべり防止区域に指定されている。(1991(平成3)年3月の雪解け時に右岸で地すべりが発生した。) (2)県は、一ノ瀬地すべりについて1980(昭和55)年度に左岸から貯水池地すべりの調査を開始し、1983(昭和58)年度から1985(昭和60)年度の調査で右岸の深層地すべりの存在の可能性を認識していた。1999(平成11)年5月、県は、市民団体に対し、最低推定深度45mのすべり面があることを認めた。 5 本件ダム建設の危険性(その4)一深層大規模地すべりの可能性 危険マップ中のLは、奥西一夫氏(京都大学名誉教授。「浅川ダム地すべり等技術検討委員会」委員(当時))が指摘する大規模地すべりである。すべり面の深さは、県の推定する45mよりも深い可能性があり、もし、貯水時に、このLの大規模地すべりが起これば、水はダムを越えて溢れでることとなり、深刻な災害が発生する事態は否定できないであろう。 6 本件ダム建設の危険性(その5)−ダムサイト右岸の断層と岩盤地すべりの可能性 1999(平成H)年11月、小坂共栄氏(信州大学元教授)は、危険マップ中のMのとおり、右岸の岩盤地すべり推定範囲を明らかにした。この岩盤地すべりがあった場合には、ダムの本体そのものが決壊するという可能性さえある。 7 本件ダムの洪水調節機能自体による災害発生の可能性 (1)洪水のときが危険 (2)洪水減衰期の急速な水位変動による地すべりの誘起 (3)本件ダムの「穴づまり」の問題 (4)試験湛水が危険 第3 浅川ダム建設の必要性の不存在 1 ダムがなくとも上中流域に水害は起きず、ダムがあっても下流域で水害は起こる (1)浅川ダムは専ら治水のために建設が計画されている。そこで、治水効果がないことを、上中流域の水害と、下流域(千曲川合流地点)の水害とに区別して論ずる。(2)上中流域の問題浅川では、洪水と共に土砂が流出氾濫することにより、平地部にさしかかる浅川東条付近から平地部にかけて緩やかな傾斜地となる扇状地が形成されている。 |
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樋門閉塞時に浅川の水を汲み上げて千曲川に流すため、浅川排水機場に排水ポンプが設置されている。現在の排水能力は44u/秒である(将来的には、70u/秒に増強する計画がある)。 |
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この図から分かるのは、千曲川本流と浅川のそれぞれにおける出水の間には大きな時間的なずれがあることである。即ち、10月21日1時には浅川洪水の主要流出は終わっているが、一方、千曲川では同時刻以降、水位が約3.7m上昇しており、流量のピークは同時刻以降8時間経過して現れている。2 基本高水の過大性 (1)前記のとおり,浅川については千曲川合流地点で治水安全度1/100において基本高水流量が450u/sに設定されている。言い換えると、浅川の基本高水流量450u/sは平均して100年に1回発生するとされている。 (2)流量観測が不十分なために、降雨量から流量を推定し、「基本高水流量」 (3)この降雨量(降雨波形)から流量を算出する方法として「貯留関数法」「合理式」等がある。長野県は基本高水流量を算定するのに「貯留関数法」を採用し、「合理式」で検証している。 (4)選択されたのは、主要10洪水のうち最大のピーク流量となった昭和61年9月洪水である。 (5)このように、基本高水流量は、「貯留関数法」により算出されるものであって、現実の降雨による流量そのものではない。 「基本高水流量」の決定は、ピーク流量の最大値を示した昭和61年9月洪水を選んだのであるが、その昭和61年9月洪水も降雨量を2倍に引き伸ばしてピーク流量を算出したものであり、これらにより、治水安全度1/IOOにおける基本高水流量450u/sは過大となっているのである。 第4河川法手続き上の違法 1 突然の穴あきダム決定 (1)本件ダム計画は、前記したとおり2000(平成12)年11月に一時中止、2002(平成14)年6月に中止と決定していたものであるが、被告は、2007(平成19)年2月8日治水専用・穴あきダムの建設を発表した。 第5 本件支出 1 県は、このような本件ダム建設のために2008(平成20)年度以降、調査費や工事費等を支出してきた。 2 県は、2010(平成22)年度以降、本件ダム建設工事費等を予算化した。 第6 違法性 1 本件ダムの問題点(要約) (1)本件ダムは、洪水対策には全く効果のない無用・無駄なダムである。 第7 監査請求の前置 原告らは、2009(平成21)年12月22日及び同22年1月8日、被告らの違法な公金の支出等につき、長野県監査委員に対し、地方自治法242条1項に基づいて監査請求を行ったところ、同監査委員は、同22年2月19日付をもって、原告らに対して監査請求にかかる原告らの請求には理由がないとする通知を行った(甲3)。 第8 結論 よって、原告らは被告らに対して地方自治法第242条の2第1項1号、4号前段に基づき、請求の趣旨記載の判決を求める。 証拠方法 添付書類 1 甲号証(写し) |
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| (別表)2008(平成20)年12月22日〜2008(同22)年3月31日の浅川ダム関連建設工事関連支出額 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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